野球選手のキャリアから学ぶ、実力を伸ばすことの難しさ

 

はじめに

自分は野球が好きなので、録画した野球選手の特集を見ることが多いのですが、

ここ最近は見方が少し変わってきたような気がします。

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昔は、情熱大陸とかプロフェッショナルでよくある、トッププレイヤー(イチロー、松井、ダルビッシュ等)の特集を何度も見て、「超一流のプレイヤーはこういうことを考えて競技に取り組んでいるんだな」とか、「この考え方は自分のスマブラに対しての考えと近いものがあるな」とか、そういったことを学び取るのが好きでした。

 

競技に人生を賭けた選手の思いに対する共感

今でも、そういった楽しみ方をする一方で、最近心に強く刺さるのが、"ずっとプロ野球を目指してアマチュアで野球を続けたものの、ドラフトから声がかかることもなく、キャリアを終えるべきか悩んでいる20代半ばの選手"や、"プロ野球の世界でずっとやってきたものの、結果が出ずに戦力外通告。それでも自分にできることは野球しかないと、必死でもがくプロ野球選手"の特集です。

 

恐らく、20代半ばを過ぎて社会人生活をしながらスマブラを真剣に続ける自分の境遇と重なるものがあると感じてる部分もあるだろうし、学ぶべきは成功の要因ではなく、失敗の原因であるという自分の考え方に基づくものでもあると思います。

 

きっと、この人も人生を野球のみに捧げてきて、今更引き返せないという思いと、もしかしたらまだ野球を続ければどこかで活躍するきっかけを掴んで、思い描いていた一流の選手になれるという自分への期待、両方あるのだろうと、そういった選手の特集を見て思います。

 

野球選手の、人生に対する思い・野球に対して捨てきれない思いに対する共感、それが1つ自分の見方として強くあります。

しかし、そんな選手への感情移入とは別の観点で、最近あることを感じるようになりました。

 

 プロの世界で正しく実力を伸ばすことはやっぱり難しい

1つの例が、3年前にプロ野球ドラフト会議にて、千葉ロッテから2位指名を受けた、京都大学の田中英祐選手です。

 

弱小の京都大学にありながら、MAX149kmのストレートと多彩な変化球を武器にし、京都大学のリーグ戦連敗記録を60で止めたことでも話題になった投手。

 

話題性ということもあったかもしれないが、ドラフトでは2位という高評価を受け、1年目の5月には初先発を任される等、今後を期待された選手でした。

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そんな田中投手が、今年11月に戦力外通告を受け、野球を引退することとなりました。

そして、引退までの経緯は悲惨と言えば悲惨(しかしよくあるパターン)で、公式戦で結果が出ないまま、コーチ等の指導の元で、制球難を改善するためのフォーム改造に取り組み、結果的にフォームを崩し、MAX120km台まで直球のスピードが落ちた挙句、オーバースローだったフォームもサイドスローに変更し、それでも結果が出ずにそのまま引退という流れだったようです。

 

 以前まではこういった例を見るたび、「150kmのストレートと投げっぷりの良さが売りの選手に制球を求めるがあまり、強みだったスピードが消えるなんて本末転倒じゃないか。球速を売りにするスタイルはそのままに、制球を磨く練習を積み重ねていけばいいのではないか。」と思っていたものですが、本当にそうなのかと疑問を持つようになりました。

 

別の例も紹介します。

パワーを付けることを目的とした、「肉体改造」の名の元に行った筋力トレーニングは、身体を肥大化させるだけでパフォーマンスの向上に繋がらなかった...という事例が多くありました。

恐らく、より強い打球を飛ばすためにより多くの筋力が必要で、それを身に着けるための筋力トレーニングだと思います。

しかし、筋力をつけて体重を増やすことは、動きの俊敏さを失うことにも繋がります。
ゲームのように、練習をすればポイントが溜まり、能力が上がるということはありません。

 

制球と球速も、筋力と俊敏さも全てトレードオフの関係なのではないでしょうか。何かを得ようとすれば、何かを失う、その中で自分は何を得るために何をしなければいけないかをジャッジしなければならない、そんなところに実力を伸ばす難しさを感じます。

  

先の田中選手の例で言うと、いくらアマチュアで速球派として活躍してたとはいえ、プロに入れば主に制球面には問題点があったのだと思います。だから、何かしら新たなアクションを取ることで、問題解決をする必要があった。しかし、課題を解決するための解決策がどこにあるのかについて、複数のコーチ、同僚、本人...数々の人の間で意見が分かれてしまった。結果、本人の中でどの解決策を選んでいいかを見失ってしまい、最終的には何の課題も解決できないまま別の課題も増えてしまったということなんだと思います。

 

 対戦ゲームにも同じことが言えるのではないか

先の2つの例から分かることをまとめると、大きく2つあると思います。

  1. 大前提として、競技の世界に正解はない。何か能力を伸ばそうと思えば、常に何かの能力を失うリスクを背負っている
  2. 誤ったやり方で能力を伸ばそうと思うと、能力を伸ばせないばかりか、別の能力を失う最悪の結果に終わる可能性もある

これは、対戦ゲームにも同じことが言えると思っています。

ローリスクな行動に徹することで、尖ったリターンが得られずにジリ貧になり、強気な行動を通そうとするあまりに、守りが弱くなる

 いかに最適なバランスを保つかが重要だけど、バランスを保つためのやり方を間違えると、自分の強みも時に消えてしまう でも、何もしなければ自分は何も変わらないまま

 

こういった葛藤が、自分のスマブラでも幾度となくあったように思います。

そして、今でもどのように実力を伸ばすかについて悩み続けています。

 

今まで、初心者~中級者の人が実力を伸ばせるようにと、自分なりに上達の仕方について色々記事を書いてきましたが、それは、明らかに正しいことはしようという方向性と、明らかに間違っていることはやめようという方向性のどちらかに寄っていると思っています。

 

もちろん、それはそれで価値があることなんですが、自分自身、それだけでは最上位のプレイヤーには勝てないと思うようになりました。どれだけのリスクを受け入れなければいけないのか、どれだけ強気にリターンを求めたいのか。そういったバランス感覚には1つの正解はないですが、今自分に必要なのはそういう細かい部分だと思います。

 

これからもこの葛藤の中で、またどうやって勝つ方法を探すかを考えていきたいと思います。引き際と戦う野球選手を見ながらそんなことを感じつつ、明日の仕事に備えます。